2007年12月02日

ミラクル呼んだ!鹿島・オリヴェイラ監督、就任1年目で歓喜(サンスポ)

 J1最終節(1日、鹿島3−0清水、カシマスタジアム)勝利の瞬間、派手なガッツポーズを決めたオリヴェイラ監督。その2分後、スタジアムのビジョンで浦和の敗北を確認すると、さらに大きなガッツポーズ。続いて真っ赤に染まったスタンドの前で、歓喜の胴上げだ。

 表彰式後のインタビューでは「リーグ戦の中で1回も1位を獲ることができませんでした。けれど最終のドラマに持ち込んで1位を獲ることができました」。興奮から、両手を振り上げてまくし立てた。

 今季から鹿島の監督に就任。同時にチームは初めて、外国人選手を総入れ替えした。00年にコリンチャンス(ブラジル)をクラブ選手権優勝に導いた名将も、開幕から5戦白星なし。0−0に終わった4月7日の大宮戦後には選手バスをサポーターが囲み、解任を要求する騒ぎに発展した。最悪のスタートに「選手たちは私を疑っていた。方針は間違いでないと説明する作業が必要だった」と指揮官はふり返った。

 試合では、練習で好調だった選手をすぐに起用した。浦和が首位を独走していたリーグ後半戦、何度も「あきらめなければ可能性はなくならない。自分たちの力を信じろ」と言い続けた。同時に競争意識を植え付けられたFW興梠、DF内田ら若手が実力を発揮しはじめる。

 “オズの魔法”にかかった鹿島の快進撃。「連勝の中で選手の自信が高まり、周囲に対する信頼も高まった。彼らが自分を信じてくれたこと、信じて練習に取り組んでくれたことが優勝へと導いた」と万感の思いを口にした。

 選手の睡眠時の心拍数を計測し体調をチェックするなど科学的要素を取り入れつつ、世界の情報を収集する柔軟性も持ち合わせている指揮官。すでに来季の編成について強化部との話し合いを行うなど、続投は確実。オリヴェイラ監督の下、鹿島がさらなる成長を続ける。

■オズワルド・オリヴェイラ
 1950年12月5日、ブラジル・リオデジャネイロ州出身、56歳。リオ州立大学体育学部から大学院に進み、生理学やスポーツ心理学を学ぶ。選手としてのプロ経験はなく、75年から母国のクラブでフィジカル・コーチとして指導者の道を歩む。99年、コリンチャンス監督だったルシェンブルゴ氏のブラジル代表監督就任に伴って監督昇格。同年のサンパウロ州選手権とブラジル全国選手権で優勝、翌年の世界クラブ選手権も制して、同国代表監督候補に挙げられた。その後もサンパウロやフラメンゴなど名門クラブの監督を歴任した。

★マルキーニョスがダメ押し…今季チームトップ14得点

 サンバのリズムで長髪を振り乱しながら、マルキーニョスは体全体で喜びを表した。前半18分にPKをゲットし、先制点をおぜん立て。2−0の後半13分にはDF2人に囲まれながらダメ押し弾。昨年、半年間在籍した古巣を相手にMVP級の活躍をみせた。

 「奇跡を起こした? そうじゃない。われわれがやってきたことがタイトルにつながったんだ」

 ジーコ、レオナルド、ジョルジーニョら、これまでの鹿島助っ人とは違い、渡り鳥。東京V、横浜Mなどを経て鹿島で5チーム目。チームプレーを尊重する伝統になじめず、クラブ側も一時は来季へ新外国人発掘に動いていたが、今ではチームトップ14得点、残留も濃厚だ。「これからもチームのために力を出したい」。偉大な先輩たちがやってきたように、鹿島を常勝軍団とする。


★試合後は応援席に飛び入り!サポーターとシャンパンファイト

 鹿島は試合後、場内を一周するとゴール裏の応援席へ飛び入り。小笠原、本山ら主力選手だけでなく、オリヴェイラ監督も交じって、サポーターと肩を寄せ合った。最後は場外の特設会場でシャンパンファイト。用意された48本のシャンパンとファンにも配られた400本の炭酸水はすぐになくなり、600本が追加された。

 鹿嶋市在住の教諭、久松研彦さん(26)は「試合終了後は自然と涙が出てきた。常勝軍団を築いてほしい」と興奮気味。埼玉・川越市の主婦、森岡万里さん(29)は「待ちに待った日が来た。レッズを抜いての優勝は本当にうれしい」と声を弾ませた。


◆鹿島・大東和美社長
「最後に奇跡が起きた。過去5年間は勝てなかったから、この優勝は5倍うれしい。このタイトルはアントラーズの関係者みんなの力によるものだと思う」



◆Jリーグ・鬼武チェアマン
「鹿島は“老舗”の意地を見せた。監督の積み上げてきたものが、終盤の9連勝で出たと思う。浦和はアジアCLに勝ってから、疲れがたまっていたのか元気がなかった。各クラブとも終盤盛り上げてくれて感謝している。浦和は思い切って気持ちを切り替えて、クラブW杯ではアジアナンバーワンの意地と誇りを見せてほしい」



◆Jリーグ・犬飼専務理事
「サッカーは何が起こるか分からない。(タイトルを)10個積み上げるのは大変なこと。(鹿島は)5年間、優勝がなかったけど、これを機会にいつも優勝争いする力を出せるようにね。カップ戦はG大阪が獲って、(浦和と)3つのクラブが来年のACLに出る。それぞれ、いい結果が出せてよかったと思う。浦和はしようがないね」



★児童無料招待で観客動員増

 タイトルから遠ざかっていたこともあり、鹿島の06年のリーグホーム戦平均観客は1万5400人まで落ち込んだ。そこでクラブが注目したのは『子供』。昨年からホームタウン5市(鹿嶋、神栖、潮来、鉾田、行方)の小学校に通う児童を対象に無料年間パスを発行。今年は5市にある全73の小学校を訪問して1万2283人の児童と触れ合った。今年の平均観客は1万6238人。わずか2年だが、効果は確実に表れている。


★来季ACLへ向け中田浩ら補強へ

 鹿島は来季のACLを見据えて補強に着手。期限付き移籍していたC大阪DF羽田、山形DF石川の復帰が決定的だ。来年7月にスイスリーグ・バーゼルとの契約が切れるMF中田浩については、新契約締結が可能な6カ月前にあたる同年1月にもオファーを出す方針。本人も今年の夏に復帰する意思をクラブに伝えており、契約切れで移籍金も発生しないため2年半ぶりの鹿島復帰は確実だ。今年7月にメッシーナから復帰したMF小笠原が優勝の原動力になったように、シーズン後半に向けて大きな戦力となりそうだ。


■鹿島アントラーズ
 1947年に住友金属蹴球同好会として大阪で創部。75年に現在の茨城県鹿嶋市に移転。85年に日本リーグ1部昇格。91年にチーム名を鹿島アントラーズに改称、Jリーグ正会員となる。ブラジルのスーパースター、ジーコを中心に93年第1ステージを制覇し、96年にJリーグ年間王者となる。00年度にはJリーグ発足後初となる三冠(リーグ、ナビスコ杯、天皇杯)獲得。今回でJクラブ最多の10冠を達成した。ホームスタジアムはカシマスタジアム(鹿嶋市神向寺、3万9026人収容)。大東和美代表取締役社長。

http://www.sanspo.com/soccer/top/st200712/st2007120208.html
posted by 偏 at 21:57| NEWS